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こんにちは、編集長のカワウソです!
ホームページを本格的に運用したいと考えて『Googleアナリティクス(以下、GA4)』を導入したものの、「エンゲージメントという言葉がついた指標が多くて混乱している……」という方も多いのではないでしょうか。
GA4では「エンゲージメント率」や「平均エンゲージメント時間」など、エンゲージメントに関連する指標が複数存在します。
そこで今回は、エンゲージメントに関連する各指標を一つずつ丁寧に解説します。

カワウソ
この記事は次のような人におすすめ!
- GA4を導入したものの、見方がよく分からない
- エンゲージメントとついた指標が多くて、違いがよく分からない
- GA4を使ってホームページの現状を評価したい
この記事を読めば、GA4のエンゲージメント指標の定義や活用方法を理解し、ホームページやWeb広告の改善につなげられます。
それではどうぞ。
GA4における「エンゲージメント」とは
GA4におけるエンゲージメントとは、ユーザーがどれくらいホームページに対して、関心を持っているかを測る指標です。正しく分析することで、ホームページやWeb広告の改善につながるヒントが得られます。

エンゲージメントが低い場合、以下のような要因が考えられます。
- コンテンツ(情報の内容)がユーザーのニーズを満たせていない
- 流入ユーザーがターゲットとずれている
- ページの表示速度が遅くてストレスがたまるなど、「UX(ユーザー体験)」に問題がある
飲食店を例に考えてみましょう。
お客さんが入店してくれたものの、注文せずにすぐに退店してしまいました。この場合、「メニュー構成に魅力がない」あるいは「テーブルが汚れていた」などの理由が考えられますよね。
また、10代の学生をターゲットにしているはずが、30代の主婦ばかりが入店している場合、広告の方向性にズレがある可能性も。
仮にメニュー構成や店内の清潔さに問題がなくても、なかなか料理が出てこなかったり、スタッフの態度が悪かったりすれば、途中で退店してしまうこともあるでしょう。
こうした状況では、メニューの変更、広告の調整、調理スタッフを追加で雇い入れるなど、早急な改善が求められます。
これはホームページも同じ。エンゲージメントが低い場合は、コンテンツや集客施策の見直し、ホームページ自体のUX改善といった対策が求められるのです!

カワウソ
訪問数だけを追っていても、ユーザーが興味を持って見てくれたかどうかまでは分かりません。エンゲージメントを測ることで、はじめてユーザーの関心度を把握でき、その訪問の質を把握できるのです。
なお、コンテンツ、サイトスピード、UXは以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
キーイベントだけでなくエンゲージメントも見るべき理由
エンゲージメント指標を見るべき最たる理由は、ホームページやWeb広告の評価をタイムリーに実施できるという点にあります。
ホームページの分析をするとき、「問い合わせ」や「申し込み」といったキーイベント(旧コンバージョン)に注目しがちです。たしかにキーイベントは、ホームページの成果(ゴール)を表す指標なので、重要であることは間違いありません。
しかし、扱っている商品やサービスによっては、ひと月あたりのキーイベントが2件〜3件程度ということも往々にしてあります。
こうしたケースで、キーイベントのみをチェックしていると、コンテンツやターゲティングの精度に問題がないかを把握するのに、1か月程度かかることも。
そうなると、質が悪いコンテンツを放置してしまったり、成果が見込めない場所にWeb広告を掲載し続けたりといったことが原因で、機会損失や無駄なコストの発生が起きてしまいます。
その点、エンゲージメントは、ゴール(キーイベント)に至るまでの行動を示す中間指標。キーイベントよりも短いスパンでホームページに潜むリスクを把握でき、課題がある場合は早急に手を打てるのです。


カワウソ
キーイベントが発生する頻度が少ない商品などを扱っている場合は、積極的にエンゲージメントを分析し、ホームページやWeb広告の改善点を探りましょう!
【予備知識】エンゲージメント指標は2つに分けられる
エンゲージメント指標と一口に言っても、大きく以下の2つのカテゴリに分けられます。
- エンゲージメントのあったセッション数
- エンゲージメント率
- エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブ ユーザーあたり)
- アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
- セッションあたりの平均エンゲージメント時間
それぞれ定義や用途は異なるため、「エンゲージメント」という言葉に引っ張られて混同してしまうと、データを正しく見られなくなります。
たとえば、「エンゲージメントのあったセッション数」と「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」では、エンゲージメントの定義が異なるのです。
これらの違いを正しく理解していなければ、間違った改善策を導き出してしまうおそれがあるので、注意しましょう。

カワウソ
各指標についての詳細は、このあと解説します!
行動の有無に関連するエンゲージメント指標
まずは、「行動の有無に関連するエンゲージメント指標」から解説します。
GA4では、ユーザーが以下のいずれかを満たした場合に「行動があった」と判断し、「エンゲージメントのあったセッション(訪問)」としてカウントします。

(参考:[GA4] エンゲージメント率と直帰率|アナリティクス ヘルプ)
これらの条件に当てはまらない場合は、ユーザーはホームページにあまり関心を持っていないと判断するわけです。
たとえば、以下のようなパターンでユーザーを比較してみてください。
ユーザーA | ユーザーB | |
パターン① | ホームページを訪問して、 5秒後に離脱 |
ホームページを訪問して、 15秒後に離脱 |
パターン② | ただページを閲覧したのみ | 資料請求を実施した |
パターン③ | トップページのみ閲覧 | トップページに加えて、サービスページや料金ページなどを閲覧 |
どのパターンでも、ユーザーAよりユーザーBのほうが関心を持ってホームページを見てくれている可能性が高いですよね。
したがって、「エンゲージメントのあったセッション」の数や割合を把握することで、ホームページなどの現状を評価しやすくなるのです。
それでは具体的な指標について詳しく見ていきましょう。ここで紹介するのは、以下の3つの指標です。
- エンゲージメントのあったセッション数
- エンゲージメント率
- エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブ ユーザーあたり)
エンゲージメントのあったセッション数
「エンゲージメントのあったセッション数」とは、ユーザーがホームページに関心を示した訪問数のこと。前述のとおり、以下のいずれかに該当すれば、「エンゲージメントのあったセッション数」としてカウントされます。
エンゲージメントのあったセッションとする条件
(引用:[GA4] エンゲージメント率と直帰率|アナリティクス ヘルプ)
- 10秒以上継続する
- キーイベントが発生する
- ページビューまたはスクリーンビューが2回以上発生する
「エンゲージメントのあったセッション数」は多いほうがよい傾向にあります。なぜなら、ユーザーが関心を示した訪問数が多ければ、それだけキーイベントが発生する可能性が高まるためです。
もし、「エンゲージメントのあったセッション数」が少なければ、何かしら課題が潜んでいる可能性があります。仮に、以下のように「エンゲージメントのあったセッション数」に変化が見られたとしましょう。
- 3月31日のエンゲージメントのあったセッション数:1,000
- 4月1日のエンゲージメントのあったセッション数:500
この場合、3月31日から4月1日にかけて、「エンゲージメントのあったセッション数」が減っているので、その理由を考える必要があります。
たとえば、「3月31日にWeb広告の見出しを調整した、ホームページを改修した」など、さまざまな原因が想定できますよね。セッション数の変動とその原因に関する仮説を立てられれば、具体的な改善案も見えやすくなるでしょう。
ただし、「エンゲージメントのあったセッション数」はあくまでも絶対数。たとえ多く見えても、母数となる全セッション数によっては、良し悪しの判断が変わります。
そこで重要になる指標が、次にご紹介する「エンゲージメント率」になります。
エンゲージメント率
「エンゲージメント率」とは、「エンゲージメントのあったセッション」の割合を示す指標です。「エンゲージメント率」が高ければ、それだけホームページのコンテンツが、ユーザーの興味やニーズに合致していると言えます。
以下の計算式で算出可能です。
エンゲージメント率=エンゲージメントのあったセッション数÷全セッション数
「エンゲージメント率」を確認することで、母数となる全セッション数が異なっていても、ページやユーザーの質などを正確に比較評価できます。
たとえば、男女別ユーザーで確認したところ、それぞれ以下のような数値だったとしましょう。
male |
|
female |
|
「エンゲージメントのあったセッション数」だけで言えば、女性ユーザーのほうが多いですよね。しかし、「エンゲージメント率」を見てみると男性ユーザーの半分しかありません。
つまり、男性のほうが興味を示してくれている割合が高いと言えます。
男性向けのサービスを提供している場合、このような状態でも問題ないかもしれませんが、女性向けのサービスであれば改善が必要になるでしょう。
もしくは、ユニセックス商品を提供している場合、広告の配信ターゲットを男性寄りに調整することで、キーイベント数を増やせるかもしれません。
このように、「エンゲージメント率」を確認することで、「エンゲージメントのあったセッション数」だけに囚われることなく、より正確に状況を把握できるのです。
ただし、エンゲージメント率がいくら高くても、そもそものセッション数が少なければ、影響力は限定的である点には注意してください。
エンゲージメント率が80%となっていても、「全セッション数:10」「エンゲージメントのあったセッション数:8」しかなければ、集客施策やコンテンツの改善が必要になるでしょう。

カワウソ
ここでは、「エンゲージメント率が高いものは、ユーザー数やセッション数を増やす」「エンゲージメントのあったセッション数が多いページは、エンゲージメント率を高める」といった視点を持つことが大事です!
(参考:[GA4] エンゲージメント率と直帰率|アナリティクス ヘルプ)
直帰率との関係性・違い
「エンゲージメント率」と「直帰率」は裏返しの関係にあります。
「エンゲージメントのあったセッション」の割合を示す指標が、「エンゲージメント率」。
逆にエンゲージメントのなかったセッションの割合を示すのが、「直帰率」なのです。
たとえば、「エンゲージメント率」が20%の場合、「直帰率」は80%になります。
ホームページに入ってきたものの欲しい情報がなかったり、情報自体が古かったりすると、ユーザーは何もせず離脱してしまいます。
こういったホームページは、「直帰率」が高くなってしまうため、改善が必要になるのです。
「エンゲージメント率」が低ければ、それだけ「直帰率」が高いという認識を持ち、ホームページや集客施策の改善に取り組む必要があるでしょう。
(参考:[GA4] エンゲージメント率と直帰率|アナリティクス ヘルプ)
【補足】直帰率の定義が新旧(GAとUA)で異なる理由
Googleアナリティクスの現行モデルであるGA4と、以前のユニバーサルアナリティクス(以下、UA)では、定義が異なる用語がいくつかあります。
「直帰率」もじつはその一つ。GA4の「直帰率」が、エンゲージメントのなかったセッションの割合を指すのに対し、UAでは1ページしか閲覧しなかったセッションの割合を示す指標でした。
たとえば、ユーザーがトップページを訪れて、他のページを見ることなく3分後に離脱したとしましょう。UAではこれが直帰したものとして扱われ、トップページに課題があるように感じてしまうわけです。
しかし、3分閲覧したのであれば、ある程度知りたいことを知って、満足して離脱した可能性もありますよね。その場合、たとえ離脱したとしても、再訪問して「問い合わせ」や「資料請求」をすることも考えられます。
一方、GA4では「10秒以上経過」という条件を満たしているため、同じセッションでも直帰として扱われません。
UAの「直帰率」では、ユーザーの関心度について本質をとらえられていなかったところ、GA4の「エンゲージメント率」によって、より精度高く把握できるようになったと言えるでしょう。
(参考:直帰率|アナリティクス ヘルプ)
(参考:[UA→GA4] 指標の比較: Google アナリティクス 4 とユニバーサル アナリティクス)|アナリティクス ヘルプ)
ここで紹介した直帰率の定義は、あくまでGoogleアナリティクスのものです。ほかのマーケティングツールでは、直帰率の定義が異なるケースがあるので、気をつけましょう。
エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブ ユーザーあたり)
「エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブユーザーあたり)」とは、アクティブユーザー1人あたりの「エンゲージメントのあったセッション数」の平均を表す指標です。訪問ユーザーの質を見るための指標として利用できます。
指定した期間中に、ホームページを利用したユーザーのこと。
エンゲージメントのあったセッションを発生させる、はじめてホームページを訪れる、といった行動をした場合に、アクティブユーザーとしてカウントされます。
以下の計算式で算出可能です。
エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブユーザーあたり)
=エンゲージメントのあったセッション数÷合計アクティブユーザー数
「エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブユーザーあたり)」が多ければ、関心を持って再訪問してくれたユーザーがいると判断できます。
仮に、年齢別ユーザーの各指標が以下のような状態だったとしましょう。
18-24 |
|
25-34 |
|
35-44 |
|
この場合、「エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブユーザーあたり)」はそれぞれ以下のようになります。
- 18-24:1.6
- 25-34:0.6
- 35-44:1.07
上記を見ると、25-34のユーザーは「1」を割っているため、多くが一度訪問したあと、再訪していない可能性が高いと言えます。
その一方で、18-24のユーザーはホームページに興味を持ってくれており、何度か訪問してくれていそう、と考えられるわけです。
(参考:[GA4] エンゲージメント概要レポート|アナリティクス ヘルプ)
滞在時間に関連するエンゲージメント指標
続いて、滞在時間に関連するエンゲージメント指標を確認しましょう。
GA4では、ユーザーの滞在時間を「ユーザーエンゲージメント」と表現します。
ホームページがフォアグラウンド状態(最前面)で表示されていると、「ユーザーエンゲージメント」としてカウントされます。
逆に、ホームページを開いているタブやウインドウを閉じたり、別の画面やページに移動したりした場合、「ユーザーエンゲージメント」の記録が止まるわけです。
つまり、仮にホームページを開いていたとしても、別タブで違うページを見ていたり、ページを開いたまま別の作業をして放置していたりする場合は、「ユーザーエンゲージメント」はカウントされません。

GA4ではこのような仕組みで、ホームページが閲覧されていない時間を除外し、ユーザーの滞在時間に関するデータ精度を高めているのです。
この「ユーザーエンゲージメント」を前提にした、具体的な指標が以下の2つ。
- アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
- セッションあたりの平均エンゲージメント時間
それぞれ見ていきましょう。
(参考:[GA4] ユーザー エンゲージメント|アナリティクス ヘルプ)
アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
「アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間」とは、一定期間における合計ユーザーエンゲージメントを、合計アクティブユーザー数で割った値です。
以下の計算式で算出します。
アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
=合計ユーザーエンゲージメント÷合計アクティブユーザー数
以下のようなページがあったとしましょう。
- 期間:7月1日~7月3日
- 合計ユーザーエンゲージメント:24分
- 合計アクティブユーザー数:8人
この場合の、「アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間」は3分となります。
本指標が長ければ、1人ひとりのユーザーがそれだけ長く、深く、ホームページを見てくれている可能性が高いと判断できます。
逆に、「アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間」が短い場合は、多くのユーザーがそこまで関心を示さないままページを離脱している可能性があります。その場合、コンテンツなどを改善する必要があるでしょう。
(参考:[GA4] エンゲージメント概要レポート|アナリティクス ヘルプ)
セッションあたりの平均エンゲージメント時間
「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」とは、一定期間における合計ユーザーエンゲージメントを、合計セッション数で割った値です。
以下の計算式で算出します。
セッションあたりの平均エンゲージメント時間
=合計ユーザーエンゲージメント÷合計セッション数
仮に、以下のようなページがあったとします。
- 合計ユーザーエンゲージメント:30分
- 合計セッション数:10回
この場合、「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」は3分です。
本指標はコンテンツがユーザーのニーズに合致しているかどうか、セッションの質を判断するうえで役立ちます。
「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」が長ければ、ユーザーが一回のセッションで深くホームぺージを見てくれている可能性が高いと判断できます。
逆に本指標が短ければ、一度のセッションでほとんどページが見られていないと考えられるでしょう。
(参考:[GA4] エンゲージメント概要レポート|アナリティクス ヘルプ)
【目的別】GA4のエンゲージメント関連レポートの見方
ここでは、実際の活用を見据えて、エンゲージメント指標を分析するときの主な目的ごとに、どのレポートを見るべきかをご紹介します。
以下の4つの目的別に確認しますよ!

カワウソ
レポートの場所はもちろん、そこからどういったことが読み取れるのかも解説するので、安心して読み進めてくださいね。
訪問ユーザーの属性別に関心度を把握したい:ユーザー属性の詳細
訪問ユーザーの属性別に関心度を把握したい場合は、「ユーザー属性の詳細」を確認します。
「ユーザー属性の詳細」は「レポート > ユーザー > ユーザー属性」と進むと、選択できるレポートページです。

このレポートでは、以下のような項目別にエンゲージメント関連の指標を確認できます。
- 国
- 地域
- 市区町村
- 言語
- 年齢
- 性別
- インタレストカテゴリ(ユーザーの興味や関心)
確認できるエンゲージメント関連の指標は、以下のとおりです。
- エンゲージメントのあったセッション数
- エンゲージメント率
- エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブ ユーザーあたり)
- アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
デフォルトでは国ごとの表示になっていますが、画面上のプルダウンを選択することで、項目の表示に切り替えることが可能です。

ここで、地域ごとのユーザーの関心度を確認したければ、「地域」を選ぶことで、地域別に指標を確認できます。
たとえば、地元である神奈川に根付き、地域に絞った事業を営んでいたとしましょう。
レポートを見たところ、以下のような数値になっていました。
地域 | アクティブユーザー数 | エンゲージメント率 |
Tokyo | 10,000 | 50% |
Osaka | 8,000 | 45% |
Kanagawa | 6,000 | 30% |
Aichi | 3,500 | 20% |
ターゲットであるはずの神奈川の「エンゲージメント率」が低いですよね。「アクティブユーザー数」を見ても、東京や大阪よりも少なくなっています。
この場合、そもそも神奈川向けに事業を展開していることが、ホームページ上で上手くユーザーに伝えられていないかもしれません。あるいは、地元企業を利用するメリットを提示できていない可能性もあるでしょう。
これらの仮説から、トップページのメインビジュアルに神奈川向けの事業を展開していることを記載したり、地元ユーザー限定のキャンペーンを行ったり、といった施策を検討できます。
このように、本レポートはターゲットとするユーザーが訪問してくれているか、関心を持ってくれているかを把握し、適切なアプローチ方法を考えるのに役立つのです。
デバイス別にユーザーの関心度を確認したい:ユーザーの環境の詳細
デバイス別にユーザーの関心度を確認したい場合は、「ユーザーの環境の詳細」を見ます。
「ユーザーの環境の詳細」は「レポート > ユーザー > テクノロジー」から確認することが可能です。

デフォルトの状態だとブラウザ別の指標が表示されているので、折れ線グラフの下にあるプルダウンから「デバイス カテゴリ」を選択しましょう。
ここでは、以下のようなデバイスごとに、エンゲージメント関連指標が確認できます。
- desktop(ノートパソコンを含む)
- mobile
- tablet
なお、確認できるエンゲージメント関連指標は以下のとおりです。
- エンゲージメントのあったセッション数
- エンゲージメント率
- エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブ ユーザーあたり)
- アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
本レポートを見ることで、どういった環境でホームページを見ているユーザーの関心度が高いか、あるいは低いかが把握できます。
仮に、以下のようなデータが表示されていたとします。
エンゲージメント率 | アクティブユーザーあたりの 平均エンゲージメント時間 |
|
desktop | 56% | 2分10秒 |
mobile | 32% | 58秒 |
tablet | 41% | 1分42秒 |
上記のように、mobileでのエンゲージメント指標がほかのデバイスより低い場合、モバイルへの最適化ができていないことが考えられますよね。
そのため、レスポンシブデザインに対応できているか確認することはもちろん、スマートフォンの画面サイズでもテキストや画像が見やすいか、リンクがタップしやすいかなどをチェックしなければなりません。
PCやスマ-トフォンといったデバイスの画面サイズに依存せず、どのデバイスでアクセスしても表示サイズを最適化して表示する手法。
昨今、スマートフォンで閲覧するユーザーも多くいます。
したがって、本レポートを確認し、PCだけでなくスマートフォンでも適切なUXを提供できているかを確認することが大事です。
各チャネル(流入経路)の貢献度を把握したい:ユーザー獲得
新規ユーザーの獲得に貢献したチャネルを把握したい場合は、「ユーザー獲得」をチェックしましょう。
「レポート > ライフサイクル > 集客 > ユーザー獲得」から確認できます。

ここでは以下のチャネルごとに、エンゲージメント関連指標を確認できます。
「ユーザー獲得」から確認できる主なチャネル
(参考:[GA4] デフォルト チャネル グループ|アナリティクス ヘルプ)
- Organic Search:検索エンジンの無料検索結果からの訪問
- Direct:URLの直打ちやブックマークなど、参照元情報がない訪問
- Paid Search:リスティング広告(検索連動型広告)からの訪問
- Referral:他サイトに設置されたリンクからの訪問
- Organic Social:広告を除くソーシャルメディア投稿のリンクからの訪問
- Display:バナーや動画などのディスプレイ広告からの訪問
- Mail:メール本文に記載されたリンク(パラメータあり)からの訪問
確認できるエンゲージメント指標は以下の2つです。
- エンゲージメントのあったセッション数(1アクティブ ユーザーあたり)
- アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間
仮に、本レポートで以下のようなデータが確認できたとしましょう。
エンゲージメントのあった セッション数 (1アクティブユーザーあたり) |
アクティブユーザーあたりの 平均エンゲージメント時間 |
|
Organic Search | 2 | 22分00秒 |
Direct | 2 | 2分10秒 |
Paid Search | 0.6 | 34秒 |
Referral | 1.7 | 1分45秒 |
この場合、明らかにリスティング広告経由で訪れたユーザーの関心度が低いことが読み取れますよね。
原因としては、リスティング広告の「広告文」もしくは「設定キーワード」と、「広告のリンク先ページ」の関連性が低いといったことが考えられます。
その場合は、リスティング広告とページ内容を一致させる、または検索キーワードを再設定するといった調整をしなければなりません。
このように、本レポートはチャネルごとのユーザーの関心度をチェックし、集客経路ごとの貢献度や精度を測るうえで役立つでしょう。
ページ別のユーザーの関心度を確認したい:ページとスクリーン
ホームページ内のページごとにユーザーの関心度を確認したいなら、「ページとスクリーン」を確認しましょう。
「レポート > ライフサイクル > エンゲージメント > ページとスクリーン」で確認できます。

上の画像ではページタイトルで表示していますが、ページパス(URL)で表示することも可能です。

このレポートでは、ページ別の「アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間」が確認できます。
ページごとに「ユーザーが深く見てくれている可能性が高いか」を把握できるので、ページ単位での課題抽出に役立ちますよ。
たとえば、本レポートで以下のようなデータが表示されたとしましょう。
アクティブユーザーあたりの平均エンゲージメント時間 | |
/service-a/ | 1分31秒 |
/service-b/ | 23秒 |
上記の場合、「/service-a/」のページは1分31秒という数値となっており、比較的しっかりと読んでくれていると想定できますよね。一方で、「/service-b/」のページは読まれていない可能性が高いことが分かります。
そこで、二つのページを比較し、なぜこのような差があるのかを分析してみるのです。
たとえば、「/service-a/」には導入事例を記載しているものの、「/service-b/」にはない場合、それが平均エンゲージメント時間に影響を与えている可能性があるでしょう。
このように、どのページに問題がありそうかの目星をつけたいときに、ページとスクリーンのレポートは役立つのです。
ただし、対象となるページによっては、平均エンゲージメント時間が短くても問題ないケースがあります。たとえば、問い合わせページは読み物ではないので、平均エンゲージメント時間が短くても問題ないですよね。
逆に、コラム記事のように読むのに4分~5分かかるはずのページが、平均エンゲージメント時間が1分程度の場合は、ユーザーが途中で離脱している可能性があります。

カワウソ
ページ別のエンゲージメント率(行動のあったセッションの割合)もあわせてチェックすることで、より正確な現状分析が可能です。ページごとのエンゲージメント率を見る方法は「よくある質問」で解説します!
GA4でエンゲージメント指標の分析を効果的に行うポイント
ここからは、GA4でエンゲージメント指標の分析を効果的に行ううえで、押さえておきたいポイントをご紹介します。具体的には以下の3つです。
順番に解説していきます
1. 各指標の定義を正確に理解する
エンゲージメント関連の指標を分析して、ホームページやWeb広告などを評価するためには、それぞれの指標の定義について正しく理解しておく必要があります。
各指標の定義について誤解してしまうと、そこから得る示唆や改善施策についても間違えてしまうためです。
たとえば、「エンゲージメントのあったセッション」で言うエンゲージメントは、「10秒以上の閲覧」「キーイベント発生」「複数ページ閲覧」のいずれかの行動を表します。
一方で、「ユーザーエンゲージメント」におけるエンゲージメントは、実際にページがフォアグラウンドで表示されている時間を示します。
このように、同じ「エンゲージメント」という言葉ですが、指標によってどういう状態を指すかが異なるのです。この点を混同してしまうと、各指標の解釈も大きくずれてしまいます。
そのため、各定義をしっかりと理解したうえで分析することが大切なのです。
2. エンゲージメント関連指標だけに囚われない
エンゲージメント関連指標だけに囚われず、そのページの目的に応じて正しく解釈することも重要なポイントです。
基本的にエンゲージメント関連の指標は、長い(多い)ほうがいい傾向である可能性が高いです。
ただしページの目的などによっては、「平均エンゲージメント時間」が短くても問題がなかったり、逆に「エンゲージメント率」が高くても問題があったりするケースがあります。
たとえば、LP。こちらは申し込み獲得が主な目的であるため、「平均エンゲージメント時間」が短くとも、申し込みにつながっていれば問題ないと判断できますよね。
自社の商品・サービスに対する情報をまとめた単体ページのこと。
LP(エルピー)とも呼ばれ、Web広告のリンク先に設定することが多いです。
導入事例ページの場合、たとえ「エンゲージメント率」が高くても、問い合わせ件数が少なければ、具体的な導入メリットの提示など、コンテンツとしての目的を果たせていない可能性が高いと言えます。
このように、エンゲージメント関連指標は、各ページの役割やキーイベント(申し込みや問い合わせ)などの指標もふまえたうえで分析する必要があるでしょう。
3. 分析と改善のサイクルを回す
エンゲージメント関連指標を分析するときは、ただ数値をチェックするだけでなく、分析と改善のサイクルを回すことが大切です。
一度分析して、その結果からホームページを改善しても、その改善が正しかったかどうかは、再度分析しなければ分かりません。
仮に、「エンゲージメント率」が低いページがあったとして、コンテンツ内容の調整をしたとしましょう。
それで「エンゲージメント率」に改善が見られれば、方向性が正しかったと判断できますが、数値が変わっていなければ、他の原因(集客施策やページ読み込み速度など)を探る必要がありますよね。
このように、分析と検証のサイクルを継続して回していくことが、ホームページに潜む機会損失リスクを把握するうえで欠かせない取り組みなのです。
より詳細に分析したい場合はカスタムイベントを設定しよう
エンゲージメント指標はユーザーの関心度を手軽に把握できる指標ですが、より詳細にユーザー行動を把握したい場合は、カスタムイベントの設定がおすすめです。
自社が独自で設定できるイベント。デフォルトのイベントでは計測できないユーザーアクションを記録するために設定します。
例:お問い合わせボタンのクリック、料金ページを60秒閲覧した、スクロールした など
たとえば、「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」が1分だからといって、必ずしもユーザーがコンテンツを読んでいるとは限りません。
ページがブラウザでフォアグラウンド表示(最前面で表示)されていれば、たとえ何も操作していなくても、ユーザーエンゲージメントとしてカウントされるためです。
こういったシーンで、本当にユーザーがコンテンツを読んでくれたのかを測るうえで役に立つのが、カスタムイベントなのです!
商品紹介ページの下にお問い合わせボタンを置いているのであれば、そのボタンの表示やクリックをカスタムイベントとして設定することで、よりユーザー行動を深く追えます。
このように、エンゲージメント関連指標とあわせて、カスタムイベントも設定することで、より効果的にホームページの現状評価や改善につなげられるでしょう。
カスタムイベントは『Googleタグマネージャー』を使えば、画面上で直感的に設定できます。もし『Googleタグマネージャー』を使わない場合は、HTMLでソースコードを追加するなどの作業が必要になるので注意しましょう。
カスタムイベントの設定方法については、以下の公式ドキュメントを参照してください。
(参考:イベントをセットアップする|Google Analytics デベロッパ―ドキュメント)
『Googleタグマネージャー』の基礎知識や設定方法については、当メディアでも解説しています。
GA4のエンゲージメントに関するよくある質問
最後に、GA4のエンゲージメントに関するよくある質問について回答します。
Q1:GA4のエンゲージメント率はどこで見ればいいのでしょう?
A:ユーザー属性別に「エンゲージメント率」が見たい場合は、「レポート > ユーザー > ユーザー属性 > ユーザー属性の詳細」で確認できます。

ユーザーの閲覧環境別に見たい場合は、「レポート > ユーザー > テクノロジー > ユーザーの環境の詳細」で確認可能です。

チャネル別の「エンゲージメント率」を確認したい場合は、「レポート > ライフサイクル > 集客 > トラフィック獲得」を見ましょう。

Q2:GA4でエンゲージメントが表示されないのですが?
A:レポート「エンゲージメント」が表示されていない場合、そもそも「ライフサイクル」カテゴリ自体がない可能性があります。
レポートに表示されるメニューは、プロパティ作成時に選択した「ビジネス目標」によって異なるためです。
その場合、以下の公式ヘルプ内の「ビジネス目標別コレクションを追加する」を参考に、ライフサイクルを追加してください。
(参考:[GA4] ビジネス目標別コレクション|アナリティクス ヘルプ)
なおレポートをカスタマイズするには、編集者や管理者の権限が必要です。
鉛筆マークが表示されない場合はその権限がないので、管理者に問い合わせましょう。
Q3:GA4で各ページのエンゲージメント率を確認したいのですが?
A:各ページの「エンゲージメント率」を確認したい場合は、以下の3つの方法があります。
- エンゲージメント率があるレポートのセカンダリディメンションで「ページパスとスクリーン クラス」を追加する
- 「ページとスクリーン」に、エンゲージメント率が表示されるように追加する
- 探索レポートを活用する
レポートに2つ目の分析軸(属性や性別、デバイスやページURLなど)を追加する機能のこと。年齢と地域など、二つの要素を掛け合わせて分析できる。
ここでは、セカンダリディメンションで確認する手順を見ていきます。
まずは、「エンゲージメント率」がすでに表示されているレポート(ユーザー属性の詳細など)を開き、画面上にある「+」をクリックしてください。

そうすると、ページURLごとの「エンゲージメント率」が確認できるようになります。

レポートをカスタマイズする、あるいは探索レポートで確認する方法については、以下の公式ヘルプをご参考ください。
レポートをカスタマイズ:[GA4] エンゲージメント率と直帰率|アナリティクス ヘルプ
探索レポートで確認:[GA4] データ探索ツールを使ってみる|アナリティクス ヘルプ
まとめ
今回は、GA4におけるエンゲージメント指標の定義をふまえ、どう活用するのかについて解説しました。
ここまでお読みいただけたなら、GA4のエンゲージメント関連指標について基本的な知識はしっかりと押さえられたはずです。
最後に、記事の要点をおさらいしましょう。
- GA4のエンゲージメントとは、ユーザーのホームページへの関心度を示す指標
- エンゲージメント指標は「行動の有無」と「滞在時間」の2つのカテゴリに分かれる
- エンゲージメント指標を分析することで、ホームページや集客施策の改善ヒントが得られる
- エンゲージメント指標を分析するときは、定義を正しく理解することが重要
GA4は便利なツールですが、ただ見ているだけではビジネス成果につながる行動は取れません。各指標の状態から示唆を得て、具体的な改善につなげてこそ価値があります。
この記事を参考に、エンゲージメント関連指標を活用してホームページを分析し、必要に応じて改善施策に取り組みましょう。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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